その3:弦分奏、管分奏が中心No.3 section rehearsals

もうひとつ、保科アカデミーの練習で特徴的なのは、弦分奏、管分奏の多さです。
社会人オーケストラとしては、かなり異例の多さなのではないかと思います。
まず弦セクション、管セクションでハーモニーを作り、表現を合わせてから、合奏で全体のバランスをみます。
この傾向は岡山大学交響楽団の方針から引き継がれており、岡大オケでも、弦分奏、管分奏の比重はかなり高く設定されています。

今回の演奏会のように指揮者が二名いる場合は、会場を二カ所借りてフル稼働といった感じですが、指揮者が一人の場合でも、2日間の練習のうち1日は分奏のみ、といったこともあります。

余談になりますが……

20年ほど前、岡山大学交響楽団の春の合宿にヴィオラを持ってお邪魔させていただいた時、弦分奏の最中に弦楽器各パートから二人ずつ別室に呼ばれてダブルカルテットを作り、弦楽器セクションの4年生からハーモニー作りの特訓を受けたことがあります。
シューマンの交響曲第4番、第1楽章の冒頭部分から16小節ほどでしたが、全部音合わせが済むまでに1時間かかりました。
私も楽器を持ってまだ2年目でしたが、岡大オケの弦楽セクションは初心者も多いので、純正調の響きを耳が覚え、更に思った通りの音が出せるようになるまでに、それなりに時間がかかります。
しかし、一度体が覚えてしまうと、別の箇所では、もっと少ない時間で出来るようになります。
それゆえ、たった16小節に1時間かけてでも、きちんとハーモニーを作る、ということを重視するのです。

さて、これをやってから、弦分奏に戻ると、ちょっと音程をハズして和音を濁してしまうことが大変怖く感じるようになりました。
また、全音符ひとつでも、この音は3拍と1/4で切る、というような細かい打ち合わせがされていて、気をぬくと自分の音だけ残ってしまい、ハズカシイ思いをする、といった具合でした。

こういう恐怖は、パート練習ではなかなか味わえません。
弦分奏、管分奏を重視する理由は、こんなところにもあります。

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